動詞活用拡張について

 

 

動詞活用拡張を説明するうえで

動詞活用拡張を説明するうえで、 動詞活用の説明は避けてとおれません。
ですので日本語の解説をまず行いたいと思います。

 

日本語の動詞は以下の要素で構成されています。

まず「語幹/行/活用/態/形」という5つの基本要素があり、
そこへ「接辞 」が組み合わさることで「複合動詞」として機能するようになります。

すべてで6つですね。

複合動詞とは?

複合動詞は、動詞が連続したものと考えてくださってかまいません。

「動詞語幹/行/活用/態/形」から
「接辞語幹/行/活用/態/形」へとつながって成り立ちます。

 

たとえば「はなしてみよう」は「はなす」と「みる」の複合動詞です。

  • 「かっていたら」
  • 「かわないでいたら」
  • 「かっていなかったら」
  • 「かわないでいなかったら」
  • 「かえていなかったら」
  • 「かわされていたら」

これらはすべて「かう」と「いる」の複合動詞です。

態や否定形肯定形を問わず組み合わせることができますが、
否定が入る場所によって意味が変わる点に注意してください。

 

また接辞は何度も重ねることがあります。

たとえば「なっていってしまう」は「なる」「いく」「しまう」の3つの動詞から構成されています。

このように接辞として重ねられるものを補助動詞/補助形容詞と言います。
(ここではどちらもまとめて呼びたいので接辞という簡潔に呼ぶことにします。)

「動詞語幹/行/活用/態/形」から
「接辞語幹/行/活用/態/形」へとつながり、
「接辞語幹/行/活用/態/形」へとさらにつながる。

 

おおざっぱにいえば英語における pre-, -tion, -ize みたいにいろいろとくっつくわけですが、
それがなかなかめんどくさいシステマチックになっているのですね。

 

語幹とは以下のようなものです。

  • 「はなせる」の「はな」
  • 「たべた」の「たべ」
  • 「かえった」の「かえ」
  • 「かえた」の「かえ」
  • 「よかった」の「よ」(形容詞 = イ形容詞)
  • 「うつくしい」の「うつくし」(形容詞 = イ形容詞)
  • 「きれい」の「きれい」(形容動詞 = ナ形容詞)

など、動詞の形が変わろうとも一定の文字列を保つのが語幹です。

 

動詞の活用は3種類に大別できます。

  1. 五段活用は、子音/行と母音/段が組み合わさって形が形成されるものを指します。
    • 「はなす」の「す」
    • 「うります」の「り」
    • 「わらえる」の「え」
    • 「わらわれる」の「わ」など行段変化があることから判別できます。
    • 「くださる」などの敬語動詞
      • -I 活用が「り」では「い」になる。
        • くださいます いらっしゃい
      • ラ行のつもりで「り」と書くと名詞化する。
        • くださり いらっしゃり
  2. 一段活用は、行とは結びつかず独立しているものを指します。
    • 「たべ-る」「はじめ-られ-ない」などがそれです。
    • 完了形が「た」になることから一段活用だと判別できます。
  3. 変格活用
    • 五段活用にも一段活用にも属さない例外です。
    • 「する」「くる」くらいなもので、他の言語と比べたらとっても少ない!
    • 「する」には「ずる」「じる」など古風なバリエーションがあります。

 

また「行-く」と「書-く」は同じカ行でありどちらも五段活用ですが、
「行って」「書いて」のようにTE/TAが異なるものもあります。

 

※ 長鳴き鳥配列では「する」以外のバリエーションは採用していませんが、
「じる」は一段活用として扱うことで動詞活用拡張でも問題なく入力することができます。

また、五段活用の「ぬ」は古語と「死ぬ」にしか使われないので割り当てませんでした。

一方、形容詞の活用は2種類あります。

  1. 形容詞 = イ形容詞「い」
  2. 品詞と形容動詞 = ナ形容詞「だ」

「きれいだ」「きれいになった」「きれいな人」とは言いますが、
「うつくしいだ」「うつくしいになった」「うつくしいな人」とは言いません。

これは「うつくしい」が形容詞であり「きれい」が形容動詞だからです。

上の例は形容詞だと「うつくしい」「うつくしくなった」「うつくしい人」ですよね。

また、品詞でも形容動詞の活用はほぼほぼ使えるのですが、
「~な」など一部扱えないものもあります。

(昔は「~の」だったものが形容動詞だけ「~な」に変化したかららしいです)

 

ま、ともあれこんなふうに形容詞の活用は2つあるということです。
これらには次で説明する態がありません。なかなかめんどくさい

態とは?

態は動詞をひねる力とでもいいましょうか。
態を加えることで、動詞が指し示す対象やその関係性、または可能性への言及に変えることができます。

文章   行為者   あなたとの関係性
わたしは あなたに 書かす。 あなた 従わせる
わたしは あなたに 書かせる。 あなた 従わせる
わたしは あなたに 書かせられる。 わたし 従う
わたしは あなたに 書かされる。 わたし 従う
わたしは あなたに 書ける。 わたし 書く相手
わたしは あなたに 書く。 わたし 書く相手


態を追加が追加されるとき下記のルールに従い、文字が追加されます。

五段活用 一段活用 サ行変格活用
NEUTRAL 子音-U RU SURU
可能態 子音-E-RU RARE-RU DEKI-RU
使役態 子音-A-SE-RU SASE-RU SASE-RU
使役受動態 子音-ASE-RARE-RU SASE-RARE-RU SASE-RARE-RU
間接受動態 子音-A-RE-RU 使わない※ 使わない※
使役態SU 子音-A-SU 使わない※ 使わない※

 

なお、NEUTRALと使役態SU以外の態はすべて一段動詞としてふるまいます。

 

※ 長鳴き鳥配列では変格活用/一段活用にも態を割り当てています。
これは日本語として正しくないとされていても実際に使う人がいるという事実を優先させた結果です。

 

 

「動詞語幹/行/活用/態/形」の最後にたどり着く形です。

語幹から態までの間に否定を示す言葉はありませんでした。

どこで否定か肯定かを決めるかというと、この形です。

日本語では否定形、肯定形が横並びに存在します。
否定形と肯定形は必ずしも対になっておらず、
否定形にしかない表現、肯定形にしかない表現が存在するほか、
「べき」(助動詞)「がち」(形容動詞 = ナ形容詞)などが接尾辞として形のように機能する場合があります。


日本語では現在過去未来などの時制は「相」という概念によって決まるため、
動詞の形だけでは断定できませんが、おおむねながらそのような意味合いを形にみることができます。

 

基本 丁寧 だいたいの意味 備考
-OU/よう
-Aないよう
-Iましょう
-Iませんよう
意思/未来 出番は少なめ
-U
-Aない
-Iます
-Iません
現在  
?TA/?DA
-Aなかった
-Iました 過去 「いた」「んだ」「った」
など行によって文字列が異なる
*TE/*DE -Iまして
めったに使われない
連用形 「いて」「んで」「って」
など行によって文字列が異なる
-I 存在しない 連用形 否定形も存在しない

?たら
?たり
Eれば

-Iましたら
-Iましたり
-Iますれば
条件 ましたら以外めったに使われない
丁寧系の否定は存在しない

 

ほかにも「ぬ」とか「ず」とか「なんだ」とか否定形の種類は豊富ですが、
肯定形はこれほど充実していません。なぜでしょう?しらんよ


 

 

とまあここまでが日本語の解説。
こっから本題の配列の解説へ移りたいと思います。

動詞活用が出力されるまでの流れ

 

 

動詞活用の打ち方

 

「動詞語幹/(行&活用)/態/形」

  1. 語幹
    • ふつうにローマ字入力で打ってください。
  2. 行 1打目 右側
    • 1打目の右側には基本入力のローマ字と同時に、
      行キーとして「行」と「活用」2つの情報が含まれています。
    • naganaki_1-katuyo.webp
  3. 態 2打目 右側
    • 行キー後、マッピングが変わるので入力したい「態」を打ってください。
    • 態キーには「態」と「否定肯定」の2つの情報が含まれています。
    • なお、このとき左側は「かこけくき」などの行段入力の状態です。
      naganaki_2.webp
  4. 形 3打目 左側
    • 態を打った後は、左側は「形」に変わるので「形」を打ち動詞を完結させます。
      naganaki_3-tai-after-mean.webp
    • 以下、サ変活用の場合の例
      naganaki_3-tai-after.webp

 

これが最低限のシンプルな流れです。

 

入力例~~~~~~~

 

  語幹例   動詞活用
出力される文字列
  QWERTY  
IKF
KKF
たの まれる M;F
たの まれない MPF

いて IKD
って KKD
んで MKD
はこ んで NKD
まないで MID
はこ ばないで NID
める MLF
(する) できなかった ;OA
ぎます UKV
ぎません UIV
まな べませんでした NOQ
まな べました NLQ

 

 

『「KF」と打てば「つ」だせるのに「KKF」で「つ」にする意味なくない?』
という声が聞こえてきそうなもんですが、ちゃんと意味はあります。
それらの短い文字は「接辞」を使うを前提としているからこそ配置しているのです。

 

接辞の打ち方 1

「動詞語幹/(行&活用)/態/(接辞&行&活用)/(態省略)形」3打連続右手
「動詞語幹/(行&活用)/態/(接辞&行&活用)/態/形」4打連続右手(同手打鍵の限界)

  1. 語幹
  2. 行  1打目 右側
  3. 態  2打目 右側
  4. 接辞 3打目 右側
    • 態を打った後は、右側側は「接辞」に変わるので「接辞」を打ち、接辞語幹へとつなげます。
    • ここでのつなぎ方は「テ形」です
      naganaki_3-tai-after-mean.webp
  5. 態  4打目 右側省略可能
    • もし、接辞で否定形や可能態などを使いたかったら、2打目と同じように態を入力します。
    • ふつうの肯定形を打ちたい場合は、ここは省略し左手で形を打つこともできます。
      naganaki_setsuji.webp
  6. 形  5打目 左側
    • 形を入力することで動詞入力拡張は終わります。
    • このときのマッピングは3打目と同一です。

 

入力例~~~~~~~

  語幹例     動詞態    接辞  接辞態   動詞活用
出力される文字列
  QWERTY  
(する) 普通 いる 省略 している ;KLF
(する) 普通 いる 普通否定 していない ;KLIF
(する) 普通 いる 可能否定 していられない ;KLOF
はな 間接 いく 省略 されていった @;KA
;;KA
L;KA
はな 間接 いく 普通否定 されていかなかった @;KIA 
;;KIA
L;KIA
普通 しまう 省略 ってしまったら KK;Z
普通 ある 省略 いてあって KKJD
よろこ 普通 みる 省略 んでみたり NKMB
かなし 普通否定 いる 省略 まないでいた MILA
なめ 可能 くる 省略 られてくる LLNF

 

ん?なんかいやな予感が…?
接辞が重なることもあるって言ってなかった?

「動詞語幹/(行&活用)/態/(接辞&行&活用)/態/(接辞&行&活用)/(態省略)形」5打連続右手
「動詞語幹/(行&活用)/態/(接辞&行&活用)/態/(接辞&行&活用)/態/(接辞&行&活用)/(態省略)形」7打連続右手

そう接辞が2つついた複合動詞だと、5打連続右手、3つだと7打連続なんておそろしいことになっちゃうんです。

まじか!あたまおかしんじゃねえーの
いくら右利きでもこんなに右手が続くんじゃきれるぜ!

という事態を避けるべく?左手の形側にも接辞へとアクセスするキーがあります。

 

接辞の打ち方 2

「動詞語幹/(行&活用)/態/⭐❤️🔪/(接辞&行&活用)/(態省略)形」
「動詞語幹/(行&活用)/態/⭐❤️🔪/(接辞&行&活用)/態/形」
「動詞語幹/(行&活用)/態/(接辞&行&活用)/(態省略)⭐❤️🔪/(接辞&行&活用)/(態省略)形」
「動詞語幹/(行&活用)/態/(接辞&行&活用)/(態省略)⭐❤️🔪/(接辞&行&活用)/(態省略)⭐❤️🔪/(接辞&行&活用)」

このように形側の接辞用キーを打つことで、同手打鍵を和らげることができます。
また、接辞の打ち方1よりも多くの種類の接辞が打てるようになります。

そして、⭐❤️🔪キーを始めに打つことでふつうに動詞自体の省入力として使うこともできます。

「⭐❤️🔪/(動詞語幹&行&活用)/(態省略)形」少なくとも2打連続左手
「⭐❤️🔪/(動詞語幹&行&活用)/態/(態省略)形」交互打鍵

 

naganaki_⭐.webp
naganaki_❤️.webp
naganaki_🔪.webp

❤️🔪の配置はおおよそではありますが、子音行の配置に近い音を割り当てることにしています。

 

入力例~~~~~~~

 

  語幹例     動詞活用
出力される文字列
  QWERTY     合成内容  
  みてきた EMENA
MI LKNA
みる+くる
(する) してみたかった ;KMRSA みる+たい
あそ びつづける NKTKF
BI TKF
+つづける
よろこ ばれつづける N;TKF
BARE TKF
間接受動態+つづける
わら いはじめていた VKTJKLA
G TJKLA
はじめる+いる
わら わせはじめていた VMTJKLA
VAOD TJKLA
使役態+はじめる+いる
わか りやすかった OKRNA
RI RNA
EQRNA(語幹込)
+やすい
みおえてしまう MKT.K;F
MKT.E;F
MI T.E;F
おえる+しまう

 

形容詞のふるまい

QWERTYのHJに位置する形容詞には態がないため、
態の代わりに形容詞から続きやすい動詞を割り当てています。
ダ、イ、ジャ以外の動詞はすべて普通態であり態の変更はできません。

naganaki_2_KEIYOUSHI.webp

形容詞の形

naganaki_3-KEIYOUSHI-tai-after-mean.webp

右側の複合動詞はほかの活用と同様ですが、接続時の文字が異なります。

「ダ」は-I の代わりに「に」でつながり、
「イ」は-TE の代わりに「く」でつながるようにしています。

ここらへんの挙動は変更の余地があるので、
いい案がうかんだらそのうち変えるかもしれません。

「ジャ」は単純に「ダ」の形から「だ」を「じゃ」に置き換えたものです。
肯定形では古風な響きですが、主に否定形のためにあります。

否定形の「ジャ」では「では」を「じゃ」に「ないの」を「ないん」に置き換え、
堅苦しくない口語らしさをだすための措置です。

これにより「ではないので」と「じゃないんで」の打ち分けを可能にしています。

 

 

ざっと説明はこんなところです。

えっ?よくわからない?

うん。だとおもう。

いろいろと打ってみないとね。